「怪物はささやく」 2016年

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「怪物はささやく」
この映画は観逃がしていた。
監督が「永遠のこどもたち」「インポッシブル」の
J・A・バヨナということで、独特な世界観がある。
最近では打って変わった「ジュラシック・ワールド2」も手がける。
母子の関係を描くのだが、恐竜は驚きだった。
でも、しっかり子共が出てきて、意外な過去が露わになるところは
バヨナらしい奥行きが感じられた。
恐竜に似た?怪物が出てくるのがこれ。
かなりのダークファンタジーかと思ったが
子どもの悩める世界観を描く。
絵本が原作らしいが、大人にも難しい物語。
矛盾した世界をこうして描くのはおもしろい。
絵がキーになっているのがいい。
原作では特に母親が絵を描いているという設定ではないらしいが
映画にすると、この設定はいい伏線になる。
いじめられっ子で、母が不治の病で伏せている
12歳のコナー(ルイス・マクドゥーガル)。
この子が演技が上手い。
家には病気の母(フェリシティ・ジョーンズ)しかいないので、
一人でご飯を食べ洗濯などして学校に行く。
フェリシティが病気の若い母親を好演。
そこに祖母(シガーニー・ウイーバー)がやってくる。
もうおばあさん役とはかわいそうだな。
コナーは学校でも友達がいなく孤独だ。
原作では友達がいるらしいが、
そうしなかったのはより孤独感を出すためだったのだろう。
話し相手は、なぜか真夜中に現れる木の怪物。
夢の中の怪物のようだが、なぜか三つの話を聞けという。
1つ目は「女王と卑劣な手段で王となる王子の話」
2つ目は「薬剤師と娘を愛する司祭の話」
3つ目は「存在を無視された男の話」
どれもがコナーのことのよう。
怪物に4つ目の物語を語るように迫られたコナーは
それを断わるが、それは自分の気持ちを言えということだった。
「終わりにしたい」
本心だった。
「母を救いたいが、母が死んでくればこの苦しみから
逃れることができる」という叫だった。
愛するものの気持ちだった。
気持ちを吐き出したコナーは、祖母とも気持ちが通じるようだった。
怪物がきたのは、母を救うためではなくコナーを救うためだった。
怪物の話は、どれも矛盾するものだった。
この世はそういうものだということ。
いずれ大人になればわかることながら
12歳の子どもにこれを伝えるのは厳しいことだ。
どうも怪物は祖父のようでもある。
初めの方で、亡き祖父の話を母がしていた。
部屋に飾ってあった写真立てには、
幼い母が祖父に抱かれているものがあった。
木の怪物の声がリーアム・ニーソンなので
それなら納得。






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あらすじネタバレ
































12歳のコナーは毎夜夢にうなされる。
古い墓地の石造りの礼拝堂が崩れて地面に呑み込まれ、
落ちそうな母の手を握るが助けられない。
目覚めると、時刻はいつも真夜中12時7分だった。
コナーは古い家に母親と2人暮らし。
母のエリザベスは若く美ししいが病気で寝込んでいる。
コナーは1人で起きて朝食を食べ、洗濯をし1人で登校する。
コナーは学校では優等生だが小柄で気弱なため
いじめっ子ハリーにいじめられている。
教師は心配そうに声を掛けるのだが
大丈夫ですの一点張りでじっと耐えている。
ある日、母が祖父の8㎜映写機を持ってくる。
「おじいちゃんに会わせたかった。
おばあちゃんもメロメロだったのよ」と笑い、
一緒にソファに寝そべりモノクロ映画の
「キングコング」(1933年)を鑑賞する。
「皆は未知のモノを怖いから嫌うのよ」と言う。
コナーは「コングは無敵だ、みんな八つ裂きさ」
母は途中で寝てしまうが、コナーはコングが
エンパイアステートビルから落ちるシーンを見て愕然とする。
深夜0時7分、
コナーは窓から見える墓地を描いている。
その墓地には古い石造りの礼拝堂と1本の巨大な古木があった。
すると低く恐ろしい声でコナーの名を呼ぶ声が聞こえる。
木が動いて巨大な怪物となり、コナーの部屋の窓辺までくる。
怪物は燃えくすぶっているかのように内部が赤い。
「さらいに来たぞコナー」
「ママのとこに逃げないのか?」
コナーはドアに鍵をかけ「ママに手を出すな!」と叫ぶ。
怪物は窓を壊して彼を掴み上げた。
「今度来た時は壁を揺らし3つの物語を聞かせる」
「話し終わったらお前が4つ目を話せ」
コナーは「断わったら?!」というと
怪物はその赤い口で彼を丸呑みにしようとする。
コナーは夢だったと気づき、あわててママのベッドに入り込む。
 翌朝、コナーは墓地を見に行くが何も変わっていない。
家には祖母が来ており、
コナーを別れた彼の父親に預けたいという。
「ママはすぐ良くなる」
「あなたは私と住むのよ」
そのとき居間にいた母親が倒れる。
12時7分。
夢の中の約束通りドアが揺らされていたので外に出る。
そこには昨夜の怪物がいて「1つ目の物語の時間だ」
コナーは「そんなことよりおばあちゃんを追い出して」
怪物は「地球の長老の話を聞け!」という。
ただの夢なのにバカげた話を聞く暇はない!と怒るコナーに、
「夢の定義とは?私に敵を倒してもらえるとでも思ったのか?」
「私が歩いたわけや悪の王妃の最期の話だぞ」
「・・聞くよ」とコナー。
怪物は彼の前に跪き、巨大な両手でコナーを持ち上げる。
「何が見える?」
木の枝で塞がれたのに、光で描いたようなお城の絵が見える。
「遠い昔、ここは王国だった」
怪物の物語が始まる。
王国の3人の王子の死と引き換えに数々の戦いがあった。
1人目は巨人と、2人目は竜と、3人目は魔王軍と戦って死ぬ。
その後、王妃もなくなったため後継者は幼い孫だけになる。
孫は勇敢で誠実な騎士に成長し、
国民に愛され未来の国王と呼ばれるようになる。
国王は若い王妃と再婚するが、間もなく死ぬ。
王妃は実は魔女で王に毒を盛ったのではといわれる。
年若い王子の代わりに1年間王妃が国を統治する事になる。
そんなとき、王子は農家の娘と恋に落ちる。
王妃は王座を離したくないため王子に結婚を迫る。
王子は娘と逃げ出し、イチイの大木の下で野宿する。
だが、翌朝、娘は亡くなっていた。
王子は王妃が花嫁を殺した!といい
村人たちと共に復讐に立ち上がる。
イチイの巨木が歩いたのはまさにその時で、
王子と村人たちは怪物と共に城を襲撃し王妃は逃げ出す。
怪物は、私が王妃を逃したのだ、と打ち明ける。
実は花嫁を殺したのは王子で、
その罪を王妃になすり失脚させようと目論んだ、という。
「真実はえてしてそう言うものだ」
コナーの中で何かが少し変わり、
学校でもハリーを黙って睨みつけるようになる。
しかし、学校の裏で殴られる。
 アメリカから別れた父親がやってくる。
一緒に住むというがコナーは受け入れられない。
父親は妹と住んでいるという。
コナーの部屋は祖母が住む事になった。
その夜も怪物がやってきた。
今度は薬剤師と牧師の物語だった。
欲深いが人々を薬で助けていた薬剤師と、
薬剤師の商売の邪魔をする牧師。
だが牧師の二人の娘が病にかかってしまい、
牧師は薬剤師に助けを求める。
イチイの皮を使えば治るというが断る。
結局娘たちを失う。
怒ったコナーは牧師の家を壊せという。
 コナーは祖母の部屋を壊していた。
それを見て何も言わない祖母がいた。
 怪物は3つ目の話をする。
それはコナーがハリーから無視された時だった。
「誰にも見えない男がいたが、
それは人々が彼を見ようとしなかっただけ」
怒ったコナーはハリーに突進していった。
校長先生からこっぴどく怒られる。
 ついに母が危篤状態になる。
祖母の車で急ぐコナー。
祖母の前で正直になっていくコナー。
 墓地にあるイチイの木に叫ぶコナー。
怪物が現れると、地面が割れる。
教会とともに母が地面に落ちそうになる。
怪物は真実を話せという。
コナーは叫ぶ。
「本当はもう終わりにしたかったんだ!」
必死に手をつなぐコナーだが、
耐えられなくなったコナーは手を離す。
コナーは泣きじゃくり、怪物の手の中で眠る。
本当は母が死んで早くこの不安な状態から
逃れたかったという本音を語る。
母に助かってほしいという想いと、
早く死んでほしいという想い。
コナーが蓋をしている心の奥にあるその本音が、
悪夢となって現れていたのだった。
母が亡くなって、その部屋に入るコナー。
机には母の残したスケッチブックがあった。
そこには、怪物が話した物語が描かれていた。
そして、終わりのページには怪物の肩に乗った少女が描かれていた。
それは母だった。

監督:ファン・アントニオ・バヨナ

コナー・オマリー (ルイス・マクドゥーガル)
祖母クレイトン(シガニー・ウィーバー)
母エリザベス・クレイトン ( フェリシティ・ジョーンズ)
父リアム・オマリー (トビー・ケベル):
木の怪物 ( リーアム・ニーソン)
ハリー (ジェイムズ・メルヴィル)
校長 (ジェラルディン・チャップリン)




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