「アンノウン・ソルジャー」

アンノウン0ソルジャー.jpgアンノウン.jpg

「アンノウン・ソルジャー」
武蔵野館で観る。
これは観たかった。
すごい。
ここまでリアルな戦争映画はなかった。
そして全く知らなかったフィンランドとソ連の戦争。
たしかにフィンランドはロシアに接してる。
以前オーロラ観測に行った時、その地区から少し先が国境と聞いた。
映画でも勢力情勢地図が出てくるが、たしかに今のフィンランドにはカレリア地方はない。
ロシア領のカレリア共和国になっている。
森と湖の国というイメージのフィンランドにはこんな戦争があった。
1940年、
フィンランドの南側カレリア地方をソ連が侵略した。
その戦いは”冬戦争”と呼ばれる。
その後、ドイツがソ連を攻めて始めたため、それに乗じるように
フィンランドも参戦し、ソ連を攻め、カレリア地方を奪還しようとしていた。
その戦いは第二次大戦だが、フィンランドでは”継続戦争”と呼ばれる。
冬戦争で奪還された土地を奪い返す戦争だった。
北の大地でこんな戦争が繰り広げられていた事は知らなかった。
ドイツに加担したのはイタリアと日本だけではなかった。
この戦いがものすごくリアルに描かれる。
誰も主人公はいない。
強いて言えば、農場のロッカ(エーロ・アホ)という男。
名前が日本的にはエロオヤジ的で妙な響きだが、かっこいい。
若くはない男だが、肝が座っていて、軍則にも上司にもたてつく。
「おれはあんたらのために戦っているんじゃない、
おれの土地を守るために戦っている」
 ロッカの仲間には友人のスシと、
若き将校のカリオルト少尉(ヨハンネス・ホロパイネン)、
戦場でも純粋な心を失わないヒエタネン(アク・ヒルヴィニエミ)、
中隊を最後まで指揮するコスケラ(ジュシ・ヴァタネン)、
この5人が主な登場人物になる。
最初はフィンランド軍がソ連軍を追い払うのだが
圧倒的な戦力を持つソ連軍に追い返される事に。
雪の塹壕に深い森での戦いなど、他の地域ではなかなか見られない戦いが描かれる。
ハンディを駆使してのカメラが迫力ある。
泥だらけ土だらけの顔がリアル。
音響で弾がヒュンヒュンかすめるから、思わず身をすくめる。
これを観ると「プライベート・ライアン」さえ嘘っぽくなる。
まさにリアルな戦場を描く。
北欧ならではの銃器が目を引く。
機関銃がアメリカマフィアが使うようなデザインのものだ。
戦車もソ連時代のものは重厚。
塹壕での生活臭さえあるよう。
時折入る、ロッカの休暇のシーンにほっとする。
家ではやはりサウナだった。
裸の二人が戯れるシーンは妙に印象的。
そして冒頭で恋人に別れをいうイケメンのカリオルト少尉だが結婚式を挙げる。
でもすぐに戦場に赴き死ぬ。
この時の目がなんとも悲しい。
大きな戦争なのに、細かな絵が挿入されて緩急つけた構成がいい。
最初から最後まで戦争シーンなのが辛いが、こういう挿入があってこそ引き立つ。
フィンランドでは大ヒットだというから、まさにフィンランドの「戦争と平和」だ。













あらすじネタバレ






























1940年1月、
チャーチルは、“冬戦争”でソ連と戦うフィンランドを
讃える演説をしていた。
しかし連合国の支援を得られなかったフィンランドは敗北、
二ヶ月後“冬戦争”は終結するものの、
カレリア地方を含む国土の1/10以上を失う。
1941年
フィンランド政府は、ソ連への侵攻を計画するドイツと組んで戦う事で、
失った国土の回復を狙っていた。
若手将校のカリオルト少尉は恋人に別れを告げる。
彼の所属する機関銃中隊は、フィンランド東部から国境へと移動を命じられる。
農場のロッカに召集がかかり、妻と子供を残し前線に赴く。
彼はカレリア地方に農場を持っており、冬戦争のベテラン兵士だった。
ロッカは機関銃中隊のコスケラ中尉率いる小隊に配属される。
友人であるスシと同じ分隊に配属するよう、少尉に要求する。
川をボートで渡り、対岸の敵陣を攻撃するはずが、敵の抵抗で進めない。
ロッカは部下と共に突撃しようとするカリオルトを抑え
敵の陣地を鮮やかに潰していく。
カリオルトは戦場で落ち着いて行動するロッカに信頼を置くようになる。
そこにソ連軍が戦車で反撃する。
ヒエタネンが戦車に地雷を投げて爆発させ抵抗する。
1941年10月にカレリア地方の首都ペトロザヴォーツクを占領。
ここが目的地で、任務は終わったと喜ぶ兵士たち。
市内のロシア系の女性の住む家を訪問するロッカとヒエタネンとヴァンハラ。
その家の若い女性ヴェラは、何故フィンランドは、ヒトラーと組んで攻めてきたのかと問う。
ソビエトが奪いとったカレリア地峡を取り返しただけだ、とロッカ。
子供達にパンを与えた、というヒエタネンを気に入ったヴェラ。
しかし中隊に出撃に備えよとの命令が下る。
1942年1月。
雪の最前線に展開する中隊。
ロッカは上官に陣地の側面が危険と考え銃を手にして側面に潜む。
思った通りに闇に紛れソ連兵が進んでくる。
ロッカは一人で殲滅する。
戦功をあげた彼は1週間の休暇を与えられ、家族の待つ農場に帰る。
妻子とひと時を過ごした後、戦場に再び戻る。
1942年7月、
砲撃を受ける機関銃中隊の塹壕に若い兵士は配属される。
ロッカは若い兵士に最前線で生き残る術を教えるが、注意を怠り狙撃される。
ある夜前線で歩哨に付いていたロッカは、
塹壕内に忍び込んだソ連兵に襲われるが、1人を捕虜にする。
それは敵軍の大尉だった。
中隊長のランミオは改めてロッカに態度を改めるよう要求するが無視。
逆にロッカは敵の高級将校を捕えた手柄に対して、休暇を要求する。
ランミオは笑って申請書を出すようにいう。
2週間の休暇を得て帰宅したロッカは、田舎に帰りひとときの安らぎを得る。
1944年6月。
ソ連軍の反攻が始まりフィンランド南部に敵が侵入、
最前線の塹壕で対戦していた機関銃中隊も、後方への撤退を余儀なくされる。
カレリアのロッカの妻子も農場を去ることになる。
ヘルシンキに戻っていたカリオルトは、恋人と結婚式を挙げた。
最前線に戻ったカリオルト、経験の浅い新兵が敵の砲撃にパニックとなる。
それを助けようとして負傷するヒエタネン。
負傷した兵士は救急車両で後送されるが、ソ連軍の襲撃を受け全滅する。
孤立した中隊を指揮するカリオルト、
司令部は現在地を死守し、攻撃せよとの命令
その命令の従いカリオルトは、ロッカらと共に敵を攻撃するが、
敵に反撃されカリオルトは撃たれ戦死する。
まぶたには妻の姿が浮かぶ。
残された将校のコスケラは、反撃の失敗を司令部に報告すると撤退を命じる。
味方の前線に戻ると上官の中佐はコスケラを責め、
銃をかざして中隊の兵に戦えと命じる。
そこにソビエト軍が戦車を先頭に攻めてくる。
中佐は撃たれて戦車にひき殺される。
コスケラは戦車に近づき、爆薬を投げ爆破に成功するも撃たれてしまう。
退却の命令が下り、川にかかる橋に向かうロッカたち。
しかしその目前で橋は爆破され、渡河しかない。
スシが撃たれ負傷する。
ロッカはスシを担いで川を渡るが銃弾に倒れる。
1944年9月4日。
ソ連と休戦が結ばれる。
疎開して逃れた妻子の元に、負傷から回復したロッカが戻ってきた。
第2次世界大戦で敗北した国の中で、唯一フィンランドだけが
敵国による占領から逃れる事ができた。


監督:アク・ロウヒミエス

ロッカ(エーロ・アホ)
カリルオト(ヨハンネス・ホロパイネン)
ヒエタネン(アク・ヒルヴィニエミ)
コスケラ(ユッシ・ヴァタネン )
ヴァンハラ(ハンネス・スオミネン)
スシ(アルットゥ・カプライネン)
リューティ(パウラ・ヴェサラ)

"「アンノウン・ソルジャー」" へのコメントを書く

お名前
ホームページアドレス
コメント