「完全なるチェックメイト」 鑑賞4
「完全なるチェックメイト」をシャンテで観る。
年末から上映していたが、公開館が少ないので見る機会がなかった。
そろそろ終映のこの時期ようやく観る。
しかし、期待していた割にはまともで面白みに欠ける。
監督がエドワード・ズウィックだし、主演がトビー・マグワイヤと
リーヴ・シュライバーとくれば期待してしまう。
ところが映画は史実を忠実に描き出しているせいか、
平坦な構成になってしまった。
時代の雰囲気はよく出ており、当時のフイルム的な構成もリアルだが
どうかするとドキュメント的になってしまった感もある。
もっと映画的に緊張感があっていい展開が欲しかった。
先の「ブリッジ・オブ・スパイ」と同時期の話なのに
その冷戦下の緊張感がないし、肝心のチェスの展開も弱い。
1972年アメリカの若きチェスの天才ボビー・フイッジャー(トビー・マグワイヤ)は
ソ連のチェスチャンピオンのボリス・スパスキー(リーヴ・シュライバー)と対戦することになる。
冷戦下の米ソにとって、これはまさに代理戦争のようなもの。
全世界の注目が集まる中、アイスランドのレイキャビクで決定戦が始まる。
ところがあまりの天才ゆえか、ボビーは常人には理解できない行動を始める。
集中力でノイズが聞こえたり、盗聴の恐怖に取り憑かれ、
試合を放棄するなど、スタッフも混乱する。
トビー・マグワイヤがこうした神経質なキャラに合ってるのはさすが。
「マイブラザー」でも戦争還りで異常になった男を熱演していた。
そんなボビーをなだめるビル神父(ピーター・サースガード)や
ポール(マイケル・スタルバーグ)はハラハラしっぱなし。
たしかに天才と狂人は紙一重のとおり。
方やスパスキーのリーヴ・シュライバーは相変わらずの存在感。
今回はソ連人なのでロシア語ばかり、でも似合ってた。
チェスのことは全く知らないから、どうなんかと思っていたが
全く関係なかった。そんなのはどうでもいいのだ。
画面でもコマの戦略など詳しく言わない。
チェスというゲームが繰り広げられるだけで手は関係無い。
「チェックメイト」があればいいのだ。
それよりも二人の表情が重要だ。
緊張感の中のアップはさすがにいい。
日本なら将棋だ。
名人になればエア将棋で勝負ができる。
そんなエアチェスシーンも多い。
日本でも古くは坂田三吉など有名人がいるから、
こうしたリアルなドラマチックなのが作れるのにね。
でも秀作はできないのが残念。
どうしても情に走ってしまうから、肝心な面白さや緊張感が出せない。
チェス世界戦は12局で戦うことになり、7ポイント勝ったほうが勝利する。
この局面の展開がミソなのに、やや平坦になったのはもったいない。
最後に行方不明や亡命を繰り返すフィッシャーの晩年の姿が映されるが
「ボビー・フィッシャーを探して」という映画を思い起こす。
実際には観ていないが、このタイトルは秀作だと思う。

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