「ノマドランド」   2020年アメリカ

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「ノマドランド」
じわりとくる作品だった。
アカデミー賞もあり得るかもしれない。
ノマドとは放浪人とか自由人のこと、
固定した生活を嫌い、旅をする人を指すらしい。
アメリカは広大だから、こうして知らない土地に自由に行ける。
ただ、アウトドア生活なので厳しい。
主人公は根っからのアウトドア派ではない。
2008年のリーマンショックで会社がなくなり、町も無くなって
住むところもなくなり、夫も家族もなくなり、
やむなく一人外に出てしまった。
ところが、この生活が合ってたのかもしれない。
今日本でもコロナ禍で職を失い家を失う人もいるから
こういう人たちが出てもおかしくはない。
キャンプが流行ってるらしいが、それは日常の延長程度。
この映画の人たちとは根本的に違う。
キャンピングカーで集うノマドたちがいる。
そこで仲間もでき、意外に快適な暮らしになる。
主人公のはバンを改造したものでキャンピングカーではない。
住み心地はあまり良さそうではない。
でもここが唯一くつろげる場所のよう。
キャンパーはアルバイトで生活費を稼いでいる。
まるで渡り鳥のように同じようなサイクルで生活している。
キャンパー達が集うシーンは夕景が多く、
やや裏寂しい雰囲気だが、美しい。
彼らのその生活感がよく出てるなあと思ったら、
なんと、主演のフランシス・マクドーマンドと
デヴィッド・ストラザーン以外はほとんどが本物のノマドだった。
エンドロールで、名前が一緒だったので驚いた。
俳優ではないから本来なら難しいだろうが全然演技していない。
自然のままの雰囲気。
そこにフランシス・マクドーマンドらは溶け込んでいる。
彼女の全てをさらけ出した演技がすごい。
小便も大便も全裸もいとわない様に感動すらする。
まったく違和感のない画面だ。
この演出をしたのはクロエ・ジャオという中国人女性監督。
繊細な演出がドキュメンタリーのよう。
まだ若いのにとんでもない才能がありそう。
近く公開のマーベル作品「エターナルズ」でも監督をするようだ。
同じアカデミー賞候補の「ミナリ」よりもぐっとくる。
アカデミー監督賞も間違いない。



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あらすじネタバレ
























2008年
リーマンショックによる経済危機が全米を襲い、
USジプシム社の企業城下町ネバダ州エンパイアでは
その工場が閉鎖されたため、町は死に、
住民は退去を迫られ、郵便番号も消されてしまう。
ここで長年働いていた夫を最近亡くした60代のファーンは、
家財道具を売り払ってバンを買い、キャンピングカーに改造、
車上生活をはじめる。
ファーンはかつては色々な仕事をしており学校でも教えていた。
ファーンは冬の間はAmazonの倉庫で仕事をしている。
先輩キャンパーのリンダ・メイらノマド仲間と仕事をしていた。
スーパーで教え子に会うと「先生はホームレスなの?」と聞かれる。
「ハウスレスよ」
ある日、ファーンはリンダに誘われノマド生活者のイベント
「砂漠の集い」に参加する。
このイベントは著名なノマド生活者で作家や、
ユーチューバーとして活躍しているボブ・ウェルズが
ノマド生活者を支援する目的のために催したものだった。
ファーソンは乗り気ではなかったが、
多くのノマド生活者と知り合うことができ、
車上生活をする上での知恵や技術を学ぶ機会にもなり
友人もできる。
多くのキャンパーは出て行くがファーンはしばらく残る。
ある日、車のタイヤがパンクしていた。
近くに停車していた70代の女性スワンキーに助けを求めまる。
最初は機嫌が悪かったが共に時間を過ごすうちに仲良くなる。
じつは、スワンキーは末期のガンに侵されており
余命はあと1年もないという。
しかし彼女は、病室で過ごすよりも
ノマドとして旅して再びカヌーをしたいと話す。
崖一面にあったツバメの巣の景色をまた見たいという。
 ファーンはリンダとサウスダコタ州にある
バッドランズ国立公園のキャンプ場で清掃仕事を始めた。
そこでデヴィッドと再会する。
リンダは次の地を求めキャンプ場を去るが、ファーソンは残る。
寂しいファーソンをデヴィッドは優しく見守る。
2人は公園に併設されたレストランで働く。
そこへ、突然デヴィッドの息子が現れる。
息子はもうすぐ子供が生まれることを機に
父親に戻ってきてほしいという。
長らく親らしいことをしてこなかったデヴィッドは悩むが
ファーソンは家族の元へ行くことを勧める。
必ず寄ってくれと言い、別れる。
 ファーンの車が故障し修理費が5000ドル必要になる。
長年連絡をしていなかったカルフォルニアにいる妹に連絡する。
妹の家に行くと歓迎をしてくれた。
「なぜ家族と一緒にいなかったの?」
一緒に暮らしたかったとも、そして自由生活をしている姉を羨ましいとも。
車の修理を終えたファーソンはデヴィッドを訪ねる。
暖かく迎えてくれたデヴィッドの家族、久しぶりのディナー。
デヴィッドはここで一緒に暮らそうというが、
ベッドで寝るよりも車内で寝るほうが合っていた。
朝早くファーンは黙って旅立つ。
再びAmazonの倉庫での仕事に戻って新年を迎える。
また「砂漠の集い」に参加すると、スワンキーの死を知る。
主催者のボブがファーンに声をかけ、互いの話をする。
ファーンは亡き夫との思い出から逃れないといい、
ボブは5年前に息子が自殺をしたことを話し、
息子が生きていれば33歳となる誕生日だと話す。
「ノマドは別れる時はいつも”またね”と言い、
決してさよならとは言わない」と。
そして、必ず夫とまた会える、と伝えた。
この言葉に癒されたファーンは、ゴーストタウンと化した
エンパイアへ戻る。
夫が勤めていた工場や夫と長年暮らした家を訪れ、
ここに生活があった日々を想う。
気持ちが吹っ切れたかのように町を離れる。

監督:クロエ・ジャオ

フランシス・マクドーマンド(ファーン)
デヴィッド・ストラザーン(デビッド)
リンダ・メイ(リンダ)
シャーリーン・スワンキー(スワンスキー)
ボブ・ウェルズ(ボブ)

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