「トールキン旅のはじまり」

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「トールキン旅のはじまり」
時代背景がわかって興味深いが
ストレートな人物描写になって面白みはない。
「ホビット」や「指輪物語」の著者、
ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン、
その彼が、小説を書くきっかけとなった時代を描く。
まさに彼の””旅のはじまり”といえる。
しかし、長い名前だな。
J・R・R・トールキンは第一次大戦の最前線にいた。
この戦いは「ソンムの戦い」といわれ、
世界で初めて戦車が導入された超大規模な戦いだった。
トールキン属するイギリス軍は2万人近い死者を出したのだとか。
この戦いには「くまのプーさん」の
著者A・A・ミルンも通信士としていたという。
「プーと大人になった僕」でも主人公のロビンが
戦争から戻ったシーンもある。
そんな戦争の塹壕から物語が始まる。
回想という展開になってるのは、緊張感があっていい。
その戦争の中で見た硝煙や火炎放射器の脅威が
「ホビット」などの中の怪物や火を吐く
ドラゴンの元になっているのがわかる。
戦争シーンがそのような怪物の姿になっているのはおもしろい。
面白いと言っては語弊があるが、それはまさに大人でない発送。
ロシアの映画「オーガスト・ウオーズ」でも
戦場にいた子供が戦車を巨大ロボットに見立てて描いていた。
トルーキンが本当にそう感じたかはわからないが
あの「指輪物語」などを書いたのはそういう不気味な
イメージだったと納得できる。
かなり史実に忠実で、友人たちとの秘密結社「TCBS」も楽しい。
高校で親友となる彼らも、トールキンと同様に芸術派で
特に詩人でもあったジェフリーとは関係が深そう。
映画では描かれないが、その友人たちとの旅がある。
それが「ホビット」に旅になるようなので、
このあたり描いてほしかったね。
「旅のはじまり」というサブがあるけれど、小説の旅のほか
友人たちとの冒険が小説に活かされたと思うので、
戦争シーンもいいけど、そういうところもあってよかった。
トールキンになるニコラス・ホルトは「サリンジャー」についでの主演。
「マッドマックス」や「Xmen」でのイメージとは違い、
こうした神経質そうな芸術家が似合う。
どうしても「サリンジャー」のイメージが強いのだが
トールキンもかなり潔癖で純粋だ。
彼が下宿先の女の子、エディスに一目惚れし、一途に愛して、
ついには結婚までする。
一時、遠距離恋愛になって別れの手紙が来るのだが
戦争に行くときに、お互い惹かれあっていたことがわかる。
この辺りは往年の恋愛映画のシーンのよう。
久しぶりに見たリリー・コリンズが初々しい。
「白雪姫」の可憐さは変わらない。
戦争という極限の中から、普通ならそれを題材に
反戦など訴える作品を描くことになるが
トールキンは冒険物というジャンルに入ったのは驚き。
それには母の影響や、文学青年であり、
言語学に魅せられたことも大きいことがわかる。
「ホビット」「指輪物語」などは往々にして北欧伝説がある。
そのヒントを与えたのは大学時代の教授だったのも大きい。
そんな丁寧な描き方なので、2時間なのに長く感じる。










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あらすじネタバレ

















第一次大戦下、
最前線の塹壕にいるトールキン。
少尉と呼ばれるが、病気のようで一人の兵士がつきそう。
瀕死のトールキンの脳裏に少年時代が蘇る。
 イングランドのバーミンガム周辺
トールキンは1892年に南アフリカのブルームフォンテンに生まれる。
ドイツ生まれの父は銀行員だったが幼くして父を亡くす。
母と弟とでバーミンガムに移り住んでいた。
貧しいながら母の影響で語学と文学に興味を持っており
自然豊かな森のなかで友達と遊んでいた。
しかし、突然母が亡くなる。
母が敬虔なカトリックだったことから
フランシス・モーガン神父が後見人となり、当面の面倒を見てくれることになった。
弟と一緒にフォークナー夫人の家に下宿し、学校に通うこともできた。
そこで、ロブ、ジェフリー、クリストファーという親友を得る。
さらに同じ下宿にいるエディスという女の子に一目惚れをする。
成長したトールキンたち4人は名門校「キング・エドワード校」へ進学。
この学校は名門中の名門で、多くの著名人を輩出している大学だった。
エディスもピアニストを目指していたが、相変わらず下宿の女主人に縛られていた。
それでもトルーキンと徐々に親しくなっていく。
あるとき、オペラを二人で観に行くが、金が足りず入場できなかった。
そこで楽屋に忍び込み、おとぎの世界のまねごとをする。
そこで初めてのキスをする。
だが、神父からは21歳まで交際は禁止と言われる。
トルーキンら4人は自分たちで「T.C.B.S(Tea Club and Barrovian Society)」
なる秘密結社を作って、世界を芸術で変えるぞと息巻いていた。
各人が自分の才能を磨いていた時、トルーキンだけ奨学金が受けられなくなった。
さらにはエディスからの別れの手紙が届く。
酒に酔って夜の学校で不思議な言葉で叫ぶ。
そんなトールキンの元に、一人の紳士がやってくる。
なんとその人物はトールキンの愛読書の著者ジョセフ・ライト教授だった。
古典を専攻していたトールキンだったが、言語学にも興味を持っており
教授との出会いで運命が変わる。
教授の授業を受けることで奨学金の目処もつく。
そんな頃、イギリスがドイツとの戦争に参戦。
いわゆる第一次大戦が勃発する。
トールキンらも志願し戦場に旅立つ。
港でエディスと熱い別れをする。
「必ず帰ってきて」
累々たる屍のなかに倒れたトールキンだが、
一人の兵士がジェフリーの部隊を見つけたという。
気力を振り絞り、塹壕から出るが、そこは地獄だった。
煙の中に巨人が現れ、騎馬隊も走る。
ドラゴンが炎を噴き上げる。
ジェフリーの声を聞くが、そこには誰もいない。
 気がつくと、病室だった。
そばにはエディスが見守っていた。
そして親友の死を知る。
やがてエディスと結婚をし、子供にも恵まれる。
あるとき物語を書き始める。
それは亡き母が「ラインの黄金」を聞かせてくれたことや戦争で見た幻想、
大学で学んだ北欧伝説の言語、かけがえのない仲間との旅。
それらから「指輪物語」「ホビット」の物語が生まれ始める。


監督:ドメ・カルコスキ

J・R・R・トールキン(ニコラス・ホルト)
エディス・ブラット(リリー・コリンズ)
フランシス・モーガン神父(コルム・ミーニー)
ジョセフ・ライト教授(デレク・ジャコビ)
ジェフリー(アンソニー・ボイル)
ロブ(パトリック・ギブソン)
クリストファー(トム・グリーンカーニ)
母メイベル・トールキン(ローラ・ドネリー)
子供時代のトールキン(ハリー・ギルビー)
子供時代のエディス(ミミ・キーン)

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