「バイス」

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「バイス」
これはおもしろい。
悪名高かったブッシュ政権の副大統領ディック・チェイニーにスポットを当てた話。
アメリカの政界はどれも絵になるのがすごい。
どの時代の権力者には参謀がいる。
アメリカ大統領は、それまで多くの偉大な人物がいたとされる。
ところがジョージ・W・ブッシュだけは何やら頼りない印象だった。
オリバー・ストーンの「ブッシュ」という作品もあった。
ここではブッシュをジョシュブローリンが演じ、似てるなあと思った。
まさかこの人物が宇宙の生命を半分にするとは思わなかったが。
この作品ではボンクラでアル中のダメ人間ブッシュが、なぜか親の七光りによって
まさかの大統領になってしまう。
本人には実力はないが、取り巻きがやばい。
チェイニー副大統領にはリチャードドレイファス
ラムズフェルドはスコット・グレン、パウエルはジェフリーラッシュ
ライス補佐官はダンディ・ニュートンだったかな。
その当時はみんな激似だなと思ったものだ。
まだ現役の政治家たちをこういう描き方するとは、さすがエンタメの国だ。
その映画ではラムズフェルドがイラク戦争を始めたような感じだったが
その裏に、チェイニー副大統領がいた。
あまり表に現れることがない副大統領。
映画でも「大統領が死ぬのを待つ身分」と言われてる。
たしかにアメリカ大統領は目立っても、副大統領は全く目立たない。
タイトルの「VICE」は代理とかいう意味がある。
総じて副大統領のことになる。
妙な副題が付いてなかったのも良かった。
トランプ政権でも、副大統領は誰だか知らないものね。
それだけ副大統領の存在は薄い。
実際どのくらいの検量があるのかはわからない。
日本では副首相はいろいろ目立つけど。
その副大統領の存在を変えたのがチェイニーだった。
そのチェイニーになってるのが、クリスチャン・ベール。
まさかの激太りの姿に唖然とした。
配役によって体重の増減をするすごい俳優だとは知ってるが
ここまで太って、チェイニーに激似になってるのはすごい。
「マニシスト」では20kgも体重を減らし、骨と皮になってたし
「バットマン」では筋骨隆々のガタイになってた。
こんなすごいことができる俳優はそういない。
今回もチェイニーになりきるために20kgも体重を増やし、特殊メイクでなりきってる。
頭の毛も少しづつ薄くし、若い頃とのギャップもすごい。
もう二人の俳優が演じてると思わせるほど。
そして妻リンになるエイミー・アダムスもすごい。
あの美人女優が、後半はシワが目立ちふくよかな顔、体型になってる。
こういうことができるのが本当の女優だ。
日本の女優は決して真似できない。
いつまでも若々しいなんて、テレビドラマならいざ知らず、
映画という金を取るプロの世界では通用しない。
まあ、日本の俳優陣はもどきだからどうでもいいが。
ブッシュ政権の中にはライス長官やパウエルもいる。
それがリサ・ゲイハミルトンとタイラーペリーだったのは意外。
でもふたりとも良く似てる。
  さて、映画での冒頭でもチェイニーの素性はよくわからないとも出ていた。
それだけ秘密裏にしていたらしく、ここまでチェイニーにせまるのはすごい。
ダメダメ学生だったチェイニーはジョージWブッシュの若い頃に似る。
社会人になってもしがない電気工事人だったことも描かれる。
まったく政治には関心はない。
それが、恋人リンに尻を叩かれ、政界にデビューする。
運良く、剛腕ラムズフェルドに出会い、実力を開花していく。
ラムズフェルドに扮するのが、スティーヴ・カレル。
ほんと雰囲気そっくりで、ずるがしこそうなとこがぴったりだ。
時折、実際の映像が出てくるから、レーガンやニクソンなども出てくる。
そうなると、チェイニーは歴代の大統領の下で働いていたことになるわけで
参謀としての能力もたしかなものと納得できる。
いったんは政界から退き、悠々自適の生活になる。
ここで「カメラを止めろな」のようにエンドロールになるところが面白い。
まさかそれを意識したのではないだろうが、思わず!?となった。
まじめなテロップなので、バカな客は席を立つかもしれない。
  ところがロールは途中で終わる。
ここからチェイニーの力が発揮される。
パパブッシュの力により、ジョージ・ブッシュが大統領に立候補。
その副大統領候補にチェイニーが抜擢される。
このブッシュになるのが、サム・ロックウエル。
これがまた激似なのがすごい。
「スリービルボード」での小心者の保安官が印象的な彼が、まさに小心者のようなブッシュにそっくり。
ほんと笑ってしまうほどそっくりだ。
頼りなさそうなブッシュを影で操る、新しい権力の副大統領に就任する。
この時の大統領選挙はゴアを僅差で破っての大統領だった。
映画では数百票の差と言ってたが、たしかに多くのところでゴアが優勢だった。
16年のトランプとヒラリーの差よりも僅かだった。
そんなブッシュの影の大統領になったチェイニーは、911をチャンスとして
イラクを攻撃して石油を狙うのだが、現実はISの台頭など、より危険な世界を作ってしまった。
アメリカが描いたシナリオはことごとく失敗したことになる。
それを推し進めたのはチェイニーだったことがわかる。
チェイニーは太っていたこともあり、若い頃から心臓病だった。
最後は心臓移植も行われる。
悪運が強いのか、無事に成功して現在も健在だ。
 この映画はやたらナレーションが多い。
その人物が時々画面に現れる。
特に政界の人ではなく普通の人。庶民や軍人だったりもする。
でもこの人物、チェイニーのことをよくしゃべっている。
まさに国民から見た政権を言うのだろう。
 登場人物に魅力があるが、最後のころ思わぬ人物が出て驚く。
レストランでチェイニーら参謀が、イラク侵攻をメニューにたとえてしゃべっている。
そのときのウエイターが、アルフレッドモリーナだった。
エンドロールにはノンクレジットだったから、カメオだろうが、存在感ありすぎ。
また、良く似てるなと思ったら、テレビキャスターがナオミ。ワッツだった。
こういう演出もおもしろい。
監督がコメディ作品をよく撮ってるアダム・マッケイなので。なるほどと納得。








あらすじネタバレ




















9・11に騒然とするブッシュ陣営。
そこにディック・チェイニーが苦虫を噛みしめていた。
1941年
彼はネブラスカ州リンカーンに生まれ、ワイオミング州のキャスパーで育った。
60年代
イェール大学に在籍したが酒のトラブルなどで退学し、
その後、ワイオミング大学に編入学した。
秀才で野心的な恋人リンに尻を叩かれ勉強に励む。
そして二人は結婚をする。
同大学大学院博士課程政治学専攻時代に、
当時のウィスコンシン州知事のスタッフをしていたとき
たまたま彼の前に現れたのが過激な言動で注目を浴びていた
共和党の若手議員ドナルド・ラムズフェルドだった。
これが、チェイニーが政界との接点を持つきっかけとなる。
本音で語り、野心を隠さないラムズフェルドに親近感を感じたチェイニーは、
彼のもとで政治を勉強し、出世していく。
 ニクソン政権でラムズフェルドは大統領補佐官に就任するが
キッシンジャー長官との政治的対立に敗れ左官させられる。
しかし、ニクソンがウォーターゲート事件で失脚すると、副大統領のフォードが昇格する。
そして、ラムズフェルドが史上最年少で国防長官に就任する。
ラムズフェルドに付き従ってきたチェイニーは首席補佐官に任命される。
その後、選挙に出て、下院議員を6期務め政治家として足場を固めたチェイニーは
ロナルド・レーガン政権で国防長官に就任される。
その後、政界を引退し、故郷でゆっくりとした時間を過ごし
妻リンも処女作を出版し、犬のブリーダーとしても成功し、悠々自適の生活になった。
ここで、エンドロールが流れる。
 そんなとき、時期大統領を狙っている、ジョージ・W・ブッシュから、
副大統領候補として立候補して欲しいと言われる。
再度政界に戻れると思ったチェイニーだったが
妻リンからは「副大統領は“大統領の死を待つだけ”の職」だと言われる。
たしかに副大統領は何もしない役職に思われた。
自身の健康問題もあって固辞する。
ブッシュと会いそのことを伝えるが、ブッシュはチェイニーの希望を汲む。
チェイニーも権限のない副大統領ならば、その権限を高めればいいと考えはじめる。
父と違い、息子のジョージ・W・ブッシュの政治家としての資質を
軽く見積もっていたチェイニーは、副大統領に就任すると、
法律を拡大解釈させ、副大統領の権限を強めていく。
チェイニーは今度はラムズフェルドを国防長官として迎える。
こうしてブッシュ政権の権力を影で操る存在となっていく。
ところが2001年、
アメリカ同時多発テロが発生。
これを絶好の機会ととらえる。
テロを指導したウサマ・ビンラディンが潜伏すると思われる
アフガニスタンに米軍の侵攻を進めさせたチェイニー。
更に、イラクへの侵攻を狙う。
それは石油の存在があった。
チェイニーは確かでない情報を有利になるように拡大解釈したり、
自分たちの利益につながる情報にすり替えたりと、強引な政治手腕を発揮していく。
さらには「イラクに大量破壊兵器が存在する」として
多国籍軍を募ってイラクを総攻撃する。
イラクはあっという間に陥落する。
ところが、同時多発テロの直後は政府の施策を無条件に支持してきた国民から、
時間が経つにつれて徐々に反対意見が上がる。
メディアからも、イラクの大量破壊兵器保有に対する反証が行わるようになり、
チェイニーは徐々に立場が悪くなっていく。
形勢が悪くなったチェイニーはやむを得ず、ラムズフェルドを解任。
自身も心臓病の悪化もあり、退任する。
心臓移植手術で助かるチェイニー。
史上最強・最凶の副大統領(バイスプレジデント)と呼ばれた男は今も健在だという。


監督:アダム・マッケイ

ディック・チェイニー(クリスチャン・ベール)
リン・チェイニー(エイミー・アダムス)
ドナルド・ラムズフェルド(スティーヴ・カレル)
ジョージ・W・ブッシュ(サム・ロックウェル)
メアリー・チェイニー(アリソン・ピル)
カート / ナレーター(ジェシー・プレモンス)
コリン・パウエル(タイラー・ペリー)
ジョージ・H・W・ブッシュ(ジョン・ヒルナー)
コンドリーザ・ライス(リサ・ゲイ・ハミルトン)
ポール・ウォルフォウィッツ(エディ・マーサン)
ジェラルド・R・フォード(ビル・キャンプ)
FOXニュースのキャスター(ナオミ・ワッツ)
レストランのウェイター(アルフレッド・モリーナ)

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